迎え付けが終って、手燭を床に置きます。
軸は「龍起一潭氷」深い淵に潜んでいた龍が
春を待ち氷を割って現われる一瞬
をとらえた壮絶な景色。
利休の侘びはこのように力強いものだと思います。 |
短ケイのわずかな灯りで、前茶を。
寒い季節、 まずは暖かいお茶で
暖をとってもらいたいとの亭主の気持ちです。 |
蝋燭のほのかな灯りの中で見る
赤くいこった炭の美しさは格別です。 |
煮物椀は利休卵。
利休が好んで懐石に使っていた
という胡麻の入った卵豆腐。
古酒を使っています。 |
強肴は鍋仕立てにした
大根と豚のべっこう煮。
夜咄なので、懐石も少しラフに。
正午の茶事より格を落とすところに面白みがあります。 |
膳燭の芯を切るのが
懐石の醍醐味だったりする。 |
夜のことですから、お酒も進みます。
お酒が好きな方には、石杯と預け徳利をお出しします。 |
主菓子は「雪間の草」という銘をつけました。 |
茶事のクライマックス
濃茶が練りあがりました。 |
干菓子は、すり蜜のボタン雪と金柑の砂糖漬けを
ざっくりと盛り合わせました。 |
ちょっと大きめの水指の蓋のつまみは可愛い梟。
能登の江崎満さんの作です。 |
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時代の海上り安南の小壷を茶入に。
茶杓はかい先にひびが入ったものを金継した、銘「再来」。
棗は夜咄のために私がデザインして
池之浦大起先生に作っていただいた、雪華蒔絵平棗です。
立春をすぎ、暦の上ではもう春ですが、一年で一番寒い厳寒ころ、ほっこり暖かいお茶が、心を満たしてくれます。
寒い時期のお茶はまた格別の楽しみ、喜びがあります。
こもり居しながらじっと春の訪れを待つ、利休の侘びの心そのままのお茶を楽しみましょう。 |