空を見上げると春に一番よく見える、おおくま座が見つかります。おおくま座の腰から尾にかけて、柄杓の形に明るい7つの恒星が並んでいます。水を汲む柄杓に似ているので「斗」という字を使って、北斗七星と呼ばれています。
その柄杓の水を汲む部分(合といいます)の上のラインをそのまま5倍のばすと、北極星が見つかります。
北極星は北の方角を示しますので、南、東、西の方角もわかります。自分の立っている場所がわかるということです。
日常のなかで自身の立ち位置を見失うこともあります。また、人生の中でどの道を目指しているのかがわからなくなる時も。
あるお茶屋さんの看板に「のどが渇けば水を飲み、心が渇けばお茶を飲む」とありました。柄杓をもって、道を確かめながら、心を潤すお茶を差し上げる。茶道って、なんだかすごいですね。
このように、茶道は宇宙観をもって構成されている大きな世界です。こまごまとした点前、小声でしょぼしょぼ問答だけしていると見えることもありますが、実は茶道は宇宙と同じくらいに大きくて深い世界なんです。
例えば、太陽と月を表す、陽と陰。宇宙がその中にすっぱり入っている四畳半茶室。茶室に座るときには、頭は天に、お尻は地に引っ張られているような姿勢で座り、宇宙と一体になります。
茶道はこんな感覚を味わうことができる、稀有な世界です。何方でも、この大きい世界に飛び込むことができますよ。